イジメで差別なおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのイジメで差別な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月15日の時点で一番のイジメで差別なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.3 1 イジメで差別なアニメランキング1位
クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1030)
5138人が棚に入れました
サンライズ×キングレコードによる本格オリジナルTVアニメーションシリーズ。クリエイティブプロデューサーに福田己津央、監督に芦野芳晴を迎え、濃度の高いドラマを送り出す。

主人公アンジュ(CV水樹奈々)を軸に描かれる、戦う少女たちの群像劇。

高度に進化した情報技術「マナ」を手にした人類は、その魔法のごとき力で、戦争、飢餓、汚染など地球上のあらゆる問題を克服。ついに平和で何不自由ない理想郷を手に入れた。「ミスルギ皇国」の第一皇女・アンジュリーゼ。彼女もまた、何不自由なく、民から祝福を受け、冠を戴くはずだった。しかし、彼女は己が「ノーマ」であるという事実を突きつけられる。「ノーマ」――それはマナが使えないイレギュラー、反社会的な人ならざる「モノ」。全てを奪われた彼女は、僻地の離島に隔離される。そこで待ち受けていたのは、戦いしか知らないノーマの少女たちとの出会い。変形人型兵器「パラメイル」のライダーとして、次元を超えて侵攻してくる巨大攻性生物「ドラゴン」を狩る日々だった。名前を奪われ、兵士となった「アンジュ」が、戦いの果てに見るものとは。信じられるものは、何か。手にするものは、何か。一人の少女の不屈の物語がいま、始まる。

声優・キャラクター
水樹奈々、喜多村英梨、田村ゆかり、桑島法子、石原夏織、小清水亜美、小倉唯、上坂すみれ、宮野真守、堀江由衣、本田貴子、ゆかな、渕上舞、豊口めぐみ、玉川砂記子、根谷美智子、鳥海浩輔、東山奈央、伊瀬茉莉也、山寺宏一、林原めぐみ、辻あゆみ、茅原実里

mio♡美桜 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

やりきりました!スタンディングオベーションです‼︎

皆さん、闇鍋をご存知でしょうか?
或いは経験された方もいるかと思います。
この作品まさに「闇鍋」です。
何が入っているかわかりません。
取ったものは食べないといけません。
でも、完食した後の充実感…素晴らしいです。
美味しければ尚更。
ここまでお下品な作品に最後私は涙が出ました。
何の涙なのか、何の為に泣いてるのかわからない位に…

ブレる事なく最後まで貫いた製作者サイド、特に福田Pの
毎週懺悔を込めたTweetなど本当に闇鍋に対する愛を
感じました。
最初の数話で切った方も多いと思います。
もう一度我慢して最後まで見て欲しいです。
それでもダメなら私が闇鍋をご馳走します。
鹿児島に近い方なら…

世界中で蔓延っている差別、虐殺、異人種間または性別感
の偏見。
全てを打ち砕いて新しい世界を作り上げようとする1人の
ゲスで有りながら美しい姫がいます。
極限の状況で這い上がろうとする1人の強い女性がいます。

感じ方は人それぞれだけど私は世の男性を象徴してる
かのような鰤男にも同情します。
皆んながみんなそうではないと思いますけれど
あれだけ強大な力を持ちながら結局、男ってそこ?
みたいな…なんだか可愛いくも見えました。

とにかく製作者サイドの社会風刺を取り入れた遊び心
満載のストーリーを最後までやりきって頂いた心意気に
私は最終話で、本当に拍手が出ました。

この作品を最後まで見届けた自分と届けてくれたサンライズさんに…
スタンディングオベーションです(★´∀`ノノ ‘`゚チ’`゚チ

投稿 : 2024/11/09
♥ : 86

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

子供には見せられないけど面白かったです。

アニメーション制作:サンライズ
2014年10月 - 2015年3月に放映された全25話のTVアニメ。

 概要
マナと呼ばれる力の恩恵で、戦争や貧富の差を克服し平和と繁栄を手に入れた人類。
しかし、この一見美しく見える世界にも暗部が存在しています。
この世界の人間はマナを扱う能力を先天的に持って生まれてくることが当然であり、
マナを扱うことのできない者(全て女性)はノーマと呼ばれ忌み嫌われる存在であり、
人間として扱われず社会から迫害をされ、それどころか社会から隔離をされて、
いつ死んでもおかしくないような戦いの日々を強いられます。

そこでは女だけの軍隊が可変式ロボット兵器で天空を駆け抜けて、ドラゴンと戦います。

 感想
主人公は伝統あるミスルギ皇国の第一皇女アンジュリーゼ・斑鳩・ミスルギ。
尊き血族に生まれ選民意識に凝り固まった最低な主人公アンジュが国民の見守る前で“忌むべき”ノーマだと発覚し、
母皇妃の生命も皇族としての身分も財産も権利も全て奪われて対ドラゴン用軍事基地に送られるまでの第1話。
そして、衝撃のラストシーンに絶句。これだけでも凄かったのですが、
2話、3話、4話と作品世界に漂うピンクな雰囲気とか女同士のイジメとか人が簡単に死にまくるところとか、
なかなかに見逃せない作りでした。

物語を通じて、嫉妬や裏切りなど人間の負の感情が描かれていて、
でも、愛と友情もしっかり描かれていて、
人間の喜怒哀楽の表現を好む人には嗜好がマッチするのではないか?と思いました。

本物のクズだったアンジュが様々な出会いと凄惨な戦いから成長をする。
これは、お飾りの薄っぺらい皇女だったアンジュが現実を受け入れて、
自分の足で立って戦って本物の気高さを手に入れる物語と言えるでしょう。

最初は、フライトシューティングゲームとエロゲを融合したような世界感のアニメというイメージだったのですが、
中盤でドラゴンの正体と世界の秘密が暴かれて話は二転三転、結末へと向かっていきます。
私がこのアニメで面白いと思ったのは、男性のキャラが立ってた事でしょうか?

 タスク
アンジュと出会う度にラッキースケベ発動で○○に顔を埋めては暴力で報復される青年。
アンジュを相手にするとコミカルで情けないシーンが目立つ彼ですが、
凄腕だったり決めるときは決めるかっこいい男だったりして、素直に応援したくなりました。
実はアンジュに影響を与えた物語の重要なキャラであり、勇敢さも優しさも持ち合わせていますしね。

 ラスボスの彼
この作品は彼なくしてはイマイチになってたでしょう。
どことなく、魔界塔士サガのシルクハットの男みたい。
黙ってれば知的なイケメンなのでしょうが、
OPでアンジュの服がビリビリに破けて全裸になっていく後ろでニヤける彼に大爆笑。
ついでに、作中で彼が歌い出すことにも笑いました!

登場人物がゲスいと評されることの多いこの作品ですが、
一番の邪悪とも言える彼の存在そのものが女の敵であり、
アンジュに対しての行動が直結厨?もしくは粘着ストーカー過ぎてて、
やることなすこと最悪なのに何故か彼を見てると笑えてきて、
彼の一挙手一投足にワクワクしてしまいました。

 結論
このアニメはハードさとエロスと、おバカ成分と群像劇を楽しむB級な作りですが、
笑いあり感動ありで娯楽作品として充分に面白いと思いました。

アンジュ(フェイト)やヒルダ(なのは)などなど、声優の名前を見ると二重に楽しめたりです。
石原夏織や小倉唯など女性の声優さんたちに普段と違う演技をさせていたのが、
とても印象深かったです。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 68
ネタバレ

Yulily さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

Sexy系ファンタジー!!

アクションあり、ロマンスあり、謎解きあり、そして最後に・・セクシーありです!!
・・面白くないわけがない!!

今まで信じていた現実が、事実ではなかったとしたら…
謎が謎を呼ぶ、敵も味方も分からない…そんなダークでシリアスなストーリーに沢山のセクシーがプラスされています。冒頭から一気に引き込まれました。

この物語の主人公 アンジュリーゼ(アンジュ)は国の民から慕われている 第一皇女
ゆるやかに巻いたブロンドは上品でエレガント。そして優雅で品のある仕草が育ちのよさを物語っています。
身の回りの世話には侍女がいて何不自由ない生活を送っています。
そんなある日、アンジュは人間にとって忌むべき存在だということを知らされるのです。
第一皇女の立場から一転、地位も名誉も全てを失います。
運命に導かれるまま…
すべての謎を解き明かす戦いがはじまるのです。
{netabare}
彼女が運命を受け入れたとき
自らの足で今までと違う道へと歩き出す...

彼女の何者にも屈しない強い意志は、難に打ち勝つ度に、より確かなものになっていきます。
それは強い信念、穢れることのない心

キャラクターのビジュアルも印象的です。色とりどりのヘアカラーやヘアスタイルが画面を華やかに彩ります。

一番お気に入りキャラクターは「ヒルダ」
赤髪ツインテールでつり目、最初は口が悪く暴力的な部分しか見えませんでしたが、中盤からは違う一面が垣間見えます。強い意志を持っていて信頼した仲間を裏切ることは決してしない情に厚い女の子なんです。

二番目にお気に入りは「サラマンディーネ」
とても心優しい性格で民を一番に思っています。そして民は姫を誇りに思っています。「想えば想われる」そんな理想の国の姫。聡明、勇敢で情に厚くとても魅力的です。

三番目は「ジル」
総司令官、その言動などから一見すると非情で冷酷な性格に見えますが内に秘めた思いはそうではない。そんなところが…

映像、アクションシーンの見せ方はスピーディー、戦闘シーンは時に敵か味方か判別出来ない程速いです。残酷なシーンが多いのはマイナス点です。

また、セクシーが物語に沢山ちりばめられています。命をかけたバトルでの戦闘スーツも、ここぞとばかりにセクシーで露出度が高かったり、女性同士の夜の行為まで描かれています。

物語終盤のシーン…
アンジュとタスクのプラトニックな関係こそ精神的な繋がりを強くしていたはずです。
しかし、ついにお互いの愛を確かめ合う日が訪れます…
触りたい…
触れていたい…
繋がりたい…
二人が求める気持ちは止めることなどできない…
愛しあって 求めて与える…
アンジュはタスクが必要だったのでしょう…
いいえ、必要とされたかったのかもしれない…

男勝りのアンジュが愛する人にだけ見せる本来の女の子らしい部分はとてもかわいい。その気持ちは表情、指と指を絡めてつなぐ手から伝わってきます。
…指を絡ませる描写はとても好きです。

序盤から中盤にかけて評価は5点が見えていました。しかし終盤にかけては作品に関しての質やストーリーの粗、説明不足による強引さが気になりました。種族の存亡と、戦士の誇りを賭けた最終局面での戦いの際に発する性表現を伴う会話、残念さは否めません。
しかし最後までこの狂喜な世界観にハラハラドキドキ手に汗握りました。

絶望の中にあっても希望を見出すために戦う勇敢さは素晴らしく、どんな世界に生きようと諦めない気持ちが再生へと繋がっていていく。
この作品からそんな光が見えました!!
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 62

88.4 2 イジメで差別なアニメランキング2位
聲の形(アニメ映画)

2016年9月17日
★★★★★ 4.1 (1520)
7486人が棚に入れました
聲の形」は、聴覚の障害を持つ少女・西宮硝子と、彼女へのいじめに加担していた過去を持つ少年・石田将也の物語で、2人の衝突や再会を通して、孤独や絶望、愛などが描かれている。

声優・キャラクター
入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章、金子有希、石川由依、潘めぐみ、豊永利行、松岡茉優
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

障がい、いじめ、生と死、そして母の愛

原作未読。
劇場でも視聴しましたが、いろいろと考えさせられることの多い作品だったため、繰り返し視聴してからレビューしたいと思い、BD購入後のこのタイミングでレビューします。

【初めに】
この作品は多くの方に見て欲しい作品です。
高校生の恋愛物語なんかじゃありません。
障がい、いじめ、生と死、母の愛・・・。重いテーマを次々と投げかけてくる作品です。
そして、見終わった後、色々と考えさせられる作品です。

様々な思いの中で、少しずつ成長していく石田将也、西宮硝子、西宮結絃、そして植野直花が見どころです。

【物語】
これだけ重いテーマをよくも2時間の枠に収めたな!と感心するくらい良くできていると思います。
時間の都合上、少々強引な展開もありましたが、それをマイナス要素とするのは酷でしょう。

【作画】
京アニですからね、全く問題無いでしょう!(笑)
特に花火のシーンは鳥肌ものでした。

【声優】
なんといっても早見沙織さんでしょう。
硝子が言葉を発する度に鳥肌が立つほどの怪演。
{netabare}小学生のころ、将也と取っ組み合いの喧嘩をした硝子が発した言葉が、最初に劇場で視聴した時には理解できませんでした。
BDで繰り返し視聴をして、『頑張って!』と聞こえた時には感動しました。{/netabare}

将也の少年時代を演じた松岡茉優さんに賛否があるようですが、私はとても良かったと思いました。

【音楽】
THE WHOの「MY GENERATION」は良かった。
aikoの主題歌は好みが分かれるかも・・・。

【キャラ】
「植野直花」
一見、理に適っているようなことを言ってはいるが、実は一番自分勝手・・・に見えるキャラ。
高校生になった硝子の立場から見れば一番の敵キャラだし、『嫌い』って人が多いだろうな?
実は私もそうだったし・・・。
それだけに、最後の{netabare}手話{/netabare}には感動した。
良かった。ちゃんと成長してるじゃん!

「将也の母」
私の印象は、子供には甘いけど、責任感の強い母親。
{netabare}硝子いじめの謝罪の際、片耳から流血しながら、声も荒げずに「明日からいい子にするんだよ、ね」は衝撃的だった。
硝子の母と植野の喧嘩を止めたシーンも良かった。{/netabare}

「硝子の母」
私の印象は、子供に厳しく、だけど誰よりも子供を愛する母親。
{netabare}重度の聴覚障害のある硝子を普通学級に通わせるとか、小学生には酷なんじゃないかと思った。
しかし、硝子は聴覚に障害があるだけで、知能に障害がある訳ではない。
愛娘の将来の事を考え抜いて出した、苦渋の決断だったんだと思った。

それは、後半のシーンからもうかがえる。
高校生になった将也が硝子を一緒にいるところを見かけると問答用無用にビンタ。
そして、硝子を責める植野にも問答用無用にビンタ。
愛娘を守るためには手段を選ばずに全力で立ち向かっていく母親の姿だと思った。{/netabare}

【最後に】
極力ネタバレ無しでと思っていたんですけど、結局ネタバレだらけになってしまいました。スミマセン。
ネタバレついでに、最後に少しだけ付け加えたいと思います。

{netabare}この作品を視聴して、本当に色々なことを考えさせられました。

【障がいを持つ人とどう接するのが正解なのか?】
本作の硝子のように聴覚障害を持つ人との接し方。
将也や佐原のように手話を覚える?
  それができれば一番いいんだろうけど・・・。
  現実には、手話を知らない人が多いんじゃないかな?
  もちろん私もその一人。
「大きな声でゆっくり話せば分かるんだから」と言った植野。
  これも決して間違いではないと思っている自分がいる。

大事なことは相手の立場に立つことだと思う。
ただ、優しく接すればいいというわけでもないのだと思う。

【これって「いじめ」ですか?】
いじめがダメなんてことは、誰しも理解していることだと思う。
だけど、どうだろう?
『私の職場(学校)ではいじめなんてありません!」
そう断言できる人は少なくないと思う。だけど、
『誰かを無視したり、悪口言ったりとかありません!』 
そう断言できる人がどれだけいるだろう?
悪口・陰口くらいなら、恐らく多くの人が身に覚えがあるのでは?
『悪口・陰口くらい誰でもやってるよね?このくらいなら”いじめ”じゃないよ』

それではなぜ、佐原は不登校になったのだろう?

【母親の愛ってすごい】
将也の母、硝子の母。
タイプは全く違うけど、子供に対する愛情と責任感の強さは計り知れない。
謝罪のためにピアスを引きちぎった将也の母親。
同じく謝罪のために、公衆の面前で土下座をした硝子の母親。
どちらも本当に立派だと思った。

そして、何より、自分の身の回りの人に同じようなことをさせてはならないと思った。{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 141
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

美しい人

60年代のロックアンセム、
THE WHOの「MY GENERATION」が、
オープニングを告げる。

小学校時代回想。
退屈な毎日を単なる好奇心や面白半分で、
耳の聞こえない少女を虐める主人公。
あまりにも度がすぎて学級裁判となり、
自分がクラスから断罪され孤立する。
{netabare}保身の為、主人公を売るクラスメイトたち。
罪人の烙印、どこにでもある無自覚な悪意。
正当化される弱さ、悪意の同調圧力。{/netabare}
ヒロイン硝子の心は何度死んだのだろうか。

心を掴まれたシーンがあります。
それは硝子が持つ筆談ノートでの何気ない日常。
{netabare}そのノートに言葉を綴り、必死に周りと、
コミュニケートしようとするその少女の姿に。
拒絶され、からかわれても、
けなげに笑おうとする少女の姿に心が震える。{/netabare}

高校生現在、再会。
償うこと、許すこと。
{netabare}自分のせいでバラバラに、
壊れてしまったものと向き合う硝子。
自己嫌悪と後悔の狭間で揺れ、
他人から目を伏せて生きる主人公。{/netabare}
これは現代の罪と罰なのか。

犯した罪はいつ許されるのでしょうか。
そもそも許されるものなのでしょうか。
どうか幸せになって下さい。

心の美しい人になりたい。

今はただそう願います。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 116
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

硝子の少年時代の破片が胸へと突き刺さったまま成長した高校生のお話

原作未読

アニメ映画豊作の2016年。TOP3『君の名は。』『この世界の片隅に』『聾の形』唯一劇場で視聴しなかった作品。他意は無いです。アニメにそれほど関心がなく当時は、映画をやってたことも京アニという会社も当然山田尚子監督も、それどころか早見沙織・悠木碧・入野自由とかまーったく知らない私、一般人。

そちらはさておき、正直なところ一回目の視聴ではぐさりとくることはなく、すこし経ってなぜかまた観たくなり徐々にハマった作品。

1.主人公を中心として、なんとなく違和感を感じるキャラ設定
2.なんとなく物語の進行に違和感を感じる

この違和感ってなんだろう? 私、気になります!

主人公石田将也、ヒロイン西宮硝子を中心に主要キャラの多くがアニメ的に記号化されたキャラ設定にちょっとずらしが加わっております。
将也も硝子もあとは小学校時代の担任と永束あたりはわかりやすい感じでコミュニケーションの取り方に難がある人達です。また、植野・佐原・川井・島田も普通そうに見えてコミュニケーションの取り方で今一歩しっくりこない、きっとこう反応するだろうという予想とはちょっとずれのある言動をします。そもそも主人公二人の自己肯定感のなさは救い難いほどです。

要は気持ちよくないんですね。けなしてるわけではありません。前向きな意思みたいなのが汲み取りづらいのと、表に出てくる負のオーラ。
前向きじゃないと視聴者はストレスを感じるだろうし、言動行動に納得感がないと「ありえねー」とそりゃなるわけです。
ただしよくよく見ると、登場人物の思っていることはきちんとわかる作りになっていて、一見整合性の取れない行動のようでも根拠は必ず見つかります。
{netabare}
例えばこんなとこでしょうか。
・なんで自殺しようとする奴が死ぬ前にいじめた子のとこに行くの?
・なんで硝子死のうとするの?
・いじめた相手を好きになるとかありえん
{/netabare}


巡り巡ってこれって現実と一緒じゃん、という結論になりました。
ただ単にアニメ的テンプレキャラでないだけ。(硝子が美少女だってところはアニメ的ではありますがね)

登場人物に対しては「拒否感」しか抱かない方もいるでしょう。
その反対で、現実の自分や知人に重ね「共感」を覚えるかもしれません。
すーっと入って感動できるか、ただただ胸糞悪くなるか。
取扱うテーマが重いこともあり、娯楽作品としてはだいぶ博打だったと思います。
俗に言う『観る人を選ぶ作品』の範疇に入りそうですが、そもそも劇場版でそれを実践した勇気に拍手を送りたいものです。京都アニメーションという会社も、体力のある会社ということなのでしょう。

その京アニの稼ぎ頭、山田尚子監督の他の作品『たまこラブストーリー』『リズと青い鳥』を観て思ったのですが、作家性が高く、登場人物の心情描写においてはセリフ外の暗喩表現に秀でている監督だという印象を持ちました。
本作でもその作家性はいかんなく発揮されております。そしてその暗喩表現の多い作風がコミュニケーションを扱った作品のテーマと相性が良く、ヒットに繋がったものと考えられます。


キャラ、その他に関する前置きが長くなりました。物語にも触れときます。


冒頭からの陰鬱な展開とは対照的に空や川、背景はため息が出るほど綺麗でした。早見さん・悠木さん・入野さんは難しい役どころをしっかり理解されたうえでの好演たっだと思います。牛尾憲輔さんの劇半は作品世界にめちゃくちゃ合っておりました。

先天性の聴覚障害を持った少女と健常者たちとのコミュニケーションロス。これが主題かと思いきや、同じくらい健常者同士のコミュニケーションロスも描かれてます。
伝える手段としての言葉。「言葉に出して言ってくんないとわかんなーい」実はそうでもありません。普段私たちがとるコミュニケーションの70%は表情・しぐさなどの非言語が占めております。雰囲気でわかる、空気を読む、拳で語り合う、想いは全部ピアノに込めたんだから(これは違うかもw)、といったところが例で、各々思い当たる節があるのではないでしょうか。
言語はもともと非言語で得た情報を明確化するくらいの価値しかなかったものが、ご存じの通り残りの30%が極めて重要な世の中、それが現代社会です。
その言葉でさえも、例えば短文のSNSでこちらも向こうも意図が誤解無く伝わっているかと言ったらそうではありません。
そのような確かなものと思われている反面あやふやでもある「言葉」「声」のうち、『声』を失った少女を媒介にして、想いを伝えること伝わらないこととは何ぞや、を提起した良作です。

普段の王道的な、悪く言えば予定調和的なものから一歩外れた位置にあるからこその作品の価値であり、未視聴の方はぜひ目を通していただきたいと思ってます。テーマも含めあとは好き好きなので合わない時は合わないっす。

そして随所に見られる「セリフで表現されてない描写」を感じてみたいところです。
{netabare}
一例だけ挙げます。
■小学生時代。将也と硝子の取っ組み合い
意外と硝子が激しい感情を持ち合せた子だなと驚いたのと同時に、普段は押し殺していた、押し殺さざるを得なかったこれまでの人生を想像し胸が痛みました。
初見ではわかんなかったのが、硝子の声にならない声。「私だって頑張ってる」的なことを言ってるのだと繰り返し聴くとわかってきます。早見さんすごい。
硝子にとって後にも先にも家族以外で感情をぶつけ合ったのは将也だけだったかどうかは作品内では描かれてませんが、将也とのぶつかり合いは貴重な思い出だったと思われ、高校での再会後の硝子の行動に繋がっていきます。
{/netabare}



以下、オマケ
■川井と僕らは一緒だよ
{netabare}作品中屈指のdisられキャラの川井嬢です。徹底した傍観者タイプ。
ただ彼女って自分たちが向かい合いたくない負の部分をよく表した鏡みたいなキャラだと思うんです。
こんな話があります。
耳の聞こえない母を10年以上介護した経験のある近しい親族がいる身としては、通常の介護以上に耳が聞こえず意思疎通が取りづらい環境ではそうとう憔悴します。ちなみに介護した親族以外の親族はほぼ関わってきませんでした。
当たり前のことですが、耳が聞こえない人とは普段自分らがしているような会話はできません。このストレスってけっこう馬鹿に出来ないんです。何をして欲しいかがわからない、これが一番きついのです。
普通だったら距離置きませんか?
作品ではずっぷり関わる結弦、なんとかしようとする佐原がいます。
硝子と関係のある当事者から見れば、関わってこないけど綺麗事並び立てる者がちらほら視界に入るポジションにいると邪魔でしかありません。じゃあ視界から消えてくれ!そんな役回りが川井が本作で担っているポジションです。うーん報われる要素が見当たらない ww
いじめたいじめないはひとまず置いといて、我が身かわいさに保身に走ってしまう人間の弱さみたいなものがよく表れたキャラです。
{/netabare}


■決定!!早見沙織の足パタパタTOP3!
どうでもいいので閉じてきます
{netabare}
「足パタパタ」とは作中の女性キャラにとってなんか嬉しい出来事が起こった時や照れてどうしようもない時などに、ベッドにうつ伏せになり時には枕を抱え、足をパタパタさせる仕草を指す。人前では見せない行為のため、実際やっているかは男子諸君にとっては永遠の謎である。なお、変態と思われる可能性があるため直接女性に聞く時は、自身のキャラと聞いてもいい相手かを見極めて質問するようにしましょう。〈以上、言語の解説〉

第一位 聾の形 西宮硝子
そもそもセリフ少ないので、こんなわかりやすい反応をされるとこちらがほっとする
第二位 宇宙よりも遠い場所 白石結月
たしか第三話あたり。そういうことしなさそうなのにそのギャップが良い
第三位 風夏 氷無小雪
何話か覚えてない。そういうことしそうなキャラだが良いものは良い
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 80

88.2 3 イジメで差別なアニメランキング3位
エルフェンリート(TVアニメ動画)

2004年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (2908)
13813人が棚に入れました
側頭部の対となる二本の角とベクターと呼ばれる特殊な能力を持つ女性型ミュータント、二角奇人(ディクロニウス)。彼女らは人類を淘汰する可能性を持つとされ、離島の国立生態科学研究所に国家レベルでの極秘機密として隔離、研究されている。
ある日、偶発的な事故によって、研究所に隔離されていたディクロニウスの少女ルーシーは拘束を破り、研究所からの脱走を試みる。海に飛び込む直前に頭部に銃撃を受けるものの幸い軽症で済み、彼女はそのまま海へ投げ出される。
一方、大学に通うため親戚を頼りに鎌倉にやってきた青年コウタは、いとこのユカと由比ヶ浜でルーシーに出会ってしまう。頭部に受けたショックでルーシー以外の人格に入れ替わり、「にゅうにゅう」としか喋ることの出来ない彼女をにゅうと名付け、コウタが住むことになる楓荘に居候することになる…。

声優・キャラクター
鈴木千尋、小林沙苗、能登麻美子、萩原えみこ、松岡由貴、細井治、中田譲治

チュウ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

海外最高評価も、日本では知る人ぞ知る名作扱い。

すべてが衝撃的すぎてインパクト大!!
知らない人は是非とも見て欲しいとオススメする作品!

海外ではアメリカを中心に数多くの賞を受賞している。
初開催のAmerican Anime Awards 2007では、
Best Short Seriesに5作品のノミネートを果たすほど!
また、フランスでもJAPAN EXPO AWARDS 2009のベストオリジナルアニメ賞を受賞という快挙を成し遂げた。

今、紹介したように海外では熱烈な人気を誇るこのアニメも日本では知る人ぞ知る名作。
その理由としては、主人公の圧倒的強さとグロテスクさにあると思う。
個人差はありますが、日本人は外人よりもグロさに抵抗がある人が多い。
そのため、一般大衆が好むアニメとは言い難いのは事実である。

しかしながら、アニメの質としては郡を抜いている作品だと言える!!
作品のシナリオ、作画、キャラの構成から全てにおいて素晴らしいクオリティを誇ってるのである!!

もし、この作品を知らない方がこのレビューを読んだら、是非一度観てほしい!!
作品の性質上、グロテスクな場面も含まれ個人差で合う合わないはあると思いますが…
とても感動できる、素晴らしい作品だと断言します!!

エルフェンリートは日本発祥のアニメです!
海外で評価を受けることは有り難いですが、我々日本人がもっと評価すべきなのではないでしょうか?

投稿 : 2024/11/09
♥ : 110
ネタバレ

メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

一見てんこ盛り、破綻しているピースが、見事に収束していく。その先にあるのは感動だ。

俯瞰で記述しなおします。個別キャラとストーリーには触れません。

★どうしてもこの「絵」から好き嫌いがはっきり出やすいようなの難しい面もありますが)もっと評価されていい作品だと思います。わたしも絵は好みではありません。作品は絶賛ですが。

つまり、作画やキャラデザで、印象をもってしまうと、この作品のもつ深みに気づかずにおわってしまうかもしれません。それが問題だということです。

おそらくじっくり鑑賞するタイプの人向け。一級の「SFアイデアとミステリー要素」の融合が産んだ作品だとわたしは思います。

出会いです。また「萌」かよと思ったら違いました。(^0^;)

○悲しい物語です。(なぜか書くとはネタバレですね)
○いろいろな要素が盛り込まれています。ミスリードも同時に誘ってくれます。
○きちんと破綻なく物語が収束していきます。とてもそれが快感です。

さて、

放映年の関係もあって、映像・作画に関しては、たしかにちゃちな気がします。それでも評価は高くしたい。 花まるなのです。破綻しているかのストーリー展開だったのもが見事に収束していく様に、設定だけのアニメではない本作の魅力が凝縮されているのではないでしょうか。
{netabare}
「スラン」のような超能力新人類の迫害を想起(日本のアニメは50年遅れてパクっています)し、ラストの一部(原作のほう)では、「ファウンデーション」のぱくりかぁ(すべからくぱくりです)と思いつつ、実際のところ、シリアルキラー要素もありーの、記憶喪失ありーの、おさななじみありーの、ネコミミにみえなくもない「角少女」ありーのです。てんこ盛り。
{/netabare}
そのてんこ盛りで破綻しているようで、実は物語としては前半はミステリーでもあって、とてもすばらしい作品に仕上がっています。

――(という具合に、カオスに表現したいし、実際、だんだんピースがはまっていく感覚が快感です)

素直に感心しました。めずらしくコミックスの方も合わせて読みました。本来のコミックスの作画ほうもあまりうまい人とはいえない気もしましたが、それはそれ。それとアニメ化の兼ね合いというのもあるんでしょう。

アニコレ評価システムではどうしても高評価にはならないのが残念ですね。(僕は全体的評価は、4.5クラスなんだけど、アニコレだと無理)。無理にあげてみました。※

投稿 : 2024/11/09
♥ : 80

魔女旅に出る さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ハマれば何度も観たくなります。

約8年前、中学生のときに、人生で初めて観た深夜アニメです。不意に見返したくなり改めて鑑賞しました。なので、この作品を観るのは二回目です。このアニメはグロテスクな場面が山ほどありますが、その一つ一つの場面がヒロインの心の痛みを表しているかの様で、なくてはならない表現だと思いました。ちょっとエッチな場面も多々ありますが、最初は抵抗がありましたが、テーマが重いため、途中から気にならなくなりました(笑)また、2回観ることによりテーマの深さが実感できたため、個人的に最低2回は観てほしい作品です。いづれ、また観たくなるんだろうな…。ハマれば何度も観たくなります。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 75

52.8 4 イジメで差別なアニメランキング4位
いじめ 〜いけにえの教室〜(OAD)

2012年2月3日
★★★☆☆ 2.9 (32)
66人が棚に入れました
2012年『ちゃお』3月号・付録DVD「ちゃおちゃおTV!」に収録された。

私立星華女子学園に通う古城世良は、大会社の社長である父親の多額の寄付を背景に、生徒も先生も逆らえない女王様気取りで、ちょっと気に入らないだけで他の生徒を「生贄」と称し、全校生徒を巻き込む集団いじめを行っていた。

後輩の君島文香へのいじめを楽しんでいる最中に父親の会社が倒産したことで立場が一転。

世良はそれまでの恨みを全校生徒から買う形でいじめる側からいじめられる側へと転落してしまう。

てけ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

内容ではなく存在が問題提起になっている気がする

YouTubeで公開されているアニメ。12分ほど。

学校の女王様に目をつけられた生徒がいじめられる。
しかし、その女王様はある事情で立場が変わり、いじめられる側になる。
最初にいじめられていた生徒は……。


作品そのものは低年齢層向け。

いじめが発生する場合、人物関係は、

①いじめの中心人物
②いじめを面白がる人
③見て見ぬふりをする人
④いじめの被害者(の味方)

と分けられます。

周囲の人物は、一般的には成長とともに②→③と基本スタンスが移行していきます。
しかし、この作品では大多数が②に属していています。

また、いじめの動機・形態がリアルとは言えません。
現実の類型を気にせず、「いじめのイメージ」を描いています。
経験や知識に訴えるのではなく、雰囲気に訴えているというわけです。

なので、よっぽど幼くなければ、作品から直接学ぶことは何もないでしょう。
この内容で登場人物が中学3年というのはあんまりです。
ましてや、その歳でアニメから教訓を受けるようでは遅すぎます。


ただ、ざっくりして短いがゆえに、意識が作品の外に向きやすくなります。
また、上記の①~④と立場の移行はフォローされています。
そのおかげで、「こういういじめ、こういうシチュエーションについてどう思うか」ではなく、
「いじめそのもの、そして立場についてどう思うか」という根本的な問いに結びつきやすいと思います。


突っ込みどころの多さで話題になった側面もあるかもしれません。
しかし、100万再生を超える、多くの人の目に止まっています。
宣伝文にある問題提起の役割は果たせているのではないでしょうか。

投稿 : 2024/11/09
♥ : 34
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

いじめについて、考える。

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
昔、あにこれでこのアニメのレビューを書くのが、局地的に流行ったんですよね。

んで私も、あにこれで仲良くして頂いている(と私が勝手ながら思っている)方々がレビューしてたんで、続きたいな~と思って、視聴しました。

「いじめがダメだ」ということは大前提ながら、そこにどういう思いがあるか。今でもレビューを覗けば、各レビュアーさんの考えが見られると思いますよ。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まず私が言いたいのは、「今の子供達は、ここまでバカでもないし、タチが悪くもない」ということです。

このような事案が0だとは言いません。もっと酷いこともあるでしょう。でも、それは本当に一部のことであり、総体として、今の子供達が昔の子供に達に比べ、明らかに人間性が低いとは思ってほしくないです。私感ですが、いじめは昔の方が酷かったように思います(本当に私感です)。

今は、いじめが多いんですか? 酷いんですか?

これは、少年犯罪にも言えます。今の子供達がダメ? 本当にそうですか? それは、マスコミに作られたイメージではないですか? 懐古主義ではないですか? 警視庁の統計を見ると、少年犯罪の件数は勿論、犯罪率も基本的には過去から右肩下がりです。

高度経済成長期の日本はどうだったのでしょうか。ゴミは捨てっぱなし、川の水は汚い、街角で殴り合いの喧嘩はする……例えばそんなこともあったのではないでしょうか。私、個人の見解ですが、日本人の「モラル」は、特に子供世代においては、むしろ高まってきているんじゃないかと思います。

また、本作では、教師が超無能に描かれています。

本当に今の先生が無能かと言えば、正直、疑問です。生徒は勿論、先生方(学校)も頑張っていると思っています。確かにダメな教師もいます。でも、この国の教育は先生方の献身と良心で成り立っている部分もあるように思うのです。

OECDの調査でも、日本の教員は世界の教員の中でぶっちぎりで一番働いていることは明白になっています。給料も特段に高いわけではありません。学力に関しては、GDPにおける公的教育費の割合と学力は基本的に比例していますが、日本だけが異質。日本のGDPに占める公的教育費の支出額の割合は3.2%と、OECD加盟国で最下位(2014年)なのに、学力は大体ベスト10以内で頑張っているのが日本の教育です(とはいえ、このような劣悪な環境で、しかも世間から尊敬されず、アニメでまでバカにされるような魅力のなさでは、よい人材が集まらず、先生の質は下がっていくでしょうね。学力世界一のフィンランドは、博士号をとらないと先生になれず、給料や待遇もよく、子供がなりたい職業1位が教師らしいです)。

このアニメは、現代の子供たちや教師の悪い部分や一部の例を、これでもかと誇張して描いているアニメに感じるんですよね。

と、なんか、ちょっといじめの描写が極端で、(私は基本的に、近頃の若者は的な考え方には反感をいだきがちで)やるせない気持ちになったので、感情的になってしまいました(苦笑)

とはいえ、教育アニメとして、一定の役割はあろうかと思います。ただ、そのメッセージのひとつが「あなたも誰かをいじめたら、いじめ返されるかもよ」では、ちょっと寂しい(決して教育的ではない)。まあ、痛烈ではありますが。

このアニメがうすら怖くて、胸くそ悪くなることには激しく同意なので、このアニメをみて、一人でもいじめに対しての嫌悪や恐怖を抱き、ひとつでもいじめがなくなることを切に願います。

あと、学校現場から、表面的にでもいじめがなくなるためには、以下の言葉が指針となると思います。

『いじめを無くすには、いじめ、という軽い言葉をなくせば良いと思う。いじめ、ではなく、「暴行」「虐待」「恐喝」「殺人」という言葉を使う。いじめは立派な犯罪なのだから、いじめっ子は犯罪者と言う。犯罪という言葉を使い、罪の意識を重くすれば、いじめは減ると思う。』

by 美輪明宏

……激しく同意ですな。さらに言えば、もしいじめられたら、とっとと被害届出して、警察が動く仕組みにすれば良いと思います。「いじめをしない人間に育てる」のは教育の役割ですが、「行ったこと(いじめ)に責任をとらせる」のは司法の役割です。

もしいじめで自ら命を断ってしまうくらいなら、警察の力や裁判所の力を借り、いじめっ子の人生に痛恨の一撃を加えてやればいい。遺書でリベンジなんかしなくても、十分に勝てる。今はボイスレコーダーでも隠しカメラでも何でもある。したたかに証拠を集め、出るとこ出てやればいい。

(私はあまり思わないが)もし、いじめっ子の将来まで考えたい(前科をつけたくない)なら、義務教育の間は親に責任をとらせても良い(罰金とか)。いじめを助長、隠蔽する動きがあるなら、教師や学校を訴えても良い。

勿論、いじめられている子どもが精神的に追い詰められ、そんなことが思い付けない情況もわかる。だから、親でも教師でも、周りの大人が遠慮なく訴える。また、訴えるぞと警告できる。訴えがあったら事件性の有無に関わらず警察が動いてくれる。そういうシステムを、雰囲気づくりを、国が率先して行えばやってやれないことではない。学校現場に警察が介入することをタブー視する、教師の努力放棄だとする論調を捨て、むしろ英断だと評価する世論があれば良い。

勿論、それがいきすぎれば、「弱者の強迫」や「国家統制」など、別種の問題を引き起こすかもしれない。でも、いじめによって心に深い傷を受けたり、命を失ってしまうことを考えれば、まだマシかと思う。

そのぐらい、私はいじめが嫌いです。まあ、過激な意見なので、賛否はあるだろうけれど。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/09
♥ : 24
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

いじめおとぎ話

本編12分くらい、いじめをテーマに据えたアニメ。YouTubeにて公式動画が無料で公開中です。

原作は五十嵐かおるさんの漫画。「ちゃおデラックス」および「ちゃお」にて不定期掲載している様です。

コミックスは既刊13巻(2016年10月現在)。以下にリストを載せておきます。(サブタイトルのみ記載)
{netabare}
1.ひとりぼっちの戦い
2.生き地獄からの脱出
3.見えない悪意
4.勇気をください
5.静かな監獄
6.叶わない望み
7.凍りついた教室
8.光と影
9.タカラサガシ
10.いびつな心
11.かりそめの教室
12.心の傷跡
13.願い叶う日まで
{/netabare}

設定や描写をそのまま受け止めると、現実味が感じられなかったり、悪くすると荒唐無稽と取られかねなかったりする物語ですが、昔話やおとぎ話の様なファンタジーとして受け止めれば、じわじわと心に這い寄る寓話性を見出せる事と思います。

作中のいじめ描写は表面的なものに限られていますが、現実のいじめがこれよりも酷いものなのか否かは私には判断しかねます。人の心を痛めつける類の陰険ないじめはあるし、暴力のレベルについても、このアニメで描かれているよりも、もっと酷いものもありますから‥。ただ、それによって受ける苦しみは当事者でなければ知りようも無い事ですので、どちらがどれだけ酷いという事など、第三者が口にして良いものではないと私は考えます。キャラの心理描写についても表情や台詞に篭った情感などから判断するしかないので、この様な描き方も含めて、本作品が寓話的あるいは暗喩的作品となっていると言えるのでは無いでしょうか?

登場人物の名前も古城世良とか‥殆どそのままだけど"小公女セーラ"をもじっているものと思われ、設定も学園の女王としてちやほやされていた立場からの、父親の会社の倒産、転落という流れがそっくりで、例え話としての印象を強めます。(原作では投資の失敗ですけど)

「小公女」に登場する主人公のセーラはお嬢様ですが、終始良い子なので、本作中の世良との人物描写に共通点はありません。ですが、ちょっと視点を外して、同じ物語に登場する、取り巻きの二人の少女を引き連れた、イジワル少女ラヴィニアに目を向けると、何でも持っているセーラを嫉み、その友人のアーメンガードとメイドのベッキーを蔑む姿が、本作の悪役である古城世良と重ならないでもないのです。なれば、最初のいじめられっ子の文香は零落したセーラ、あるいは最初から弱い立場にあったアーメンガードかメイドのベッキーという事になります。

モチーフとなった物語の話はともかく、傍観者役である文香の友人のエミというキャラは古典的な物語の範疇では珍しい立場のキャラであり、それだけに私には、作者の五十嵐さんが、このキャラにこそ多くの注意を注いで欲しいと願っている様に感ぜられました。

友人同士が結束して困難に立ち向かう姿は美しいものとして描かれる事が多いものですが、これは転じて加害者側の立場に変わり、醜くもなりかねない危うさも秘めています。この作品ではその両方が描かれている様に見受けられました。そしてそれを担うのはもちろん、私たち視聴者の分身、エミなのです。

一つ例えを用いれば、自分の家族や友人が他者から何らかの攻撃(言葉とか暴力)を受けたとします。その時無条件で庇いたくなるのが人情というものですが、事情も知らずに身内に加勢する場合、間違いを冒す危険も少なからず生じます。もしかしたら、自分の贔屓にしている家族や友人の方が悪くて、争いの原因を作ったという可能性もあり得るからです。

もう一つ例えを出すと、子供同士の喧嘩があった場合、どんな親でも自分の子供を擁護したい気持ちになるものですが、なるべくなら(出来れば徹底して)喧嘩の原因を問いただして、事情を知ってから、どちらかか、両者に謝らせるべきでしょう。もし自分の子供に非がある場合には、親としては苦渋の決断となりますが、公正さを子供に見せる為には必要な教育だと思います。

踏まえ、人を守るという事は尊い行為である一方で、人を責める危険を多く含んでいるという事を、傍観者の立場にいる者は常に意識すべきだと思います。このアニメを見て今更ながらそれを痛感させられました。

好きな人を守りたい。そんな感情は誰しも持ち合わせているものですが、それはその人の事を深く知った上で初めて輝きを持つ言葉です。一方で、力に迎合する時、弱者を守る時、敵を見る時、人の魅力に心奪われる時、私たちの心はひどく曇ります。そんな時にこそ、私たちはいじめの加害者になるのではないでしょうか?

私も学生時代にいじめを受けた事があります。いじめを受けている、あるいは受けていた人に対する慰めになるかは分かりませんが、遠い日のいじめの記憶など、大人の私にとってはもう昔話。いい思い出とは言えずとも、すでに苦痛は無く、むしろ自分の血肉になっているという感謝すら覚えます。今いじめに遭って苦しんでいる人の上にも、いつかはそんな風に思える日がやって来る事を願ってやみません。

耐える事、考える事、憎悪する事、悲観する事、抵抗する事、心を殺す事。偉そうな事‥(コレ違う)を言っておきながら、実際の所は軟弱者で感傷的なブリキ男を名乗る私が言うのもなんですが、こういった事は必ず皆さんの将来の糧になります。

心を折らず挫けず、逃げる時は逃げ、戦う時は戦う、そうして死ななければ人生は大勝利です。強くあろうとする必要は無いし、勝つ必要も無い。のらりくらり飄々と、水の様に変幻自在に生きていけば、それがその人にしか体験し得ない貴重な人生の一部となっているはず‥。

楽観や諦めを否定的な感情と捉えずに、むしろ盛んに肯定して、ねこの様にしなやかに、ねずみの様にしぶとく生きていけば、きっと楽しい事だっていくらかあるはず‥いつかは自分にしか出来ない事だって見つかるはず‥。それはとってもうれしい事だと私は思います。

願わくば、いじめを受けている者たちに祝福を、虐げられている者たちに幸あれ!



って説得力ないですね‥わたし、叩けば凹むブリキ男だし‥(笑)

投稿 : 2024/11/09
♥ : 20
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